テクノロジー株はここ数年、成長の申し子として脚光を浴びてきた。だが、今は他のセクターに目を向けるべきである。

長期的な成長を求める株式投資家はここ数年、人気の高いテクノロジー株に焦点を当ててきた。その結果、他のセクターは取り残されてきたが、今はそれらのセクターについてむしろ成長見通しやバリュエーションの観点で魅力度が増していると一部の投資家は気が付きだしている。

テクノロジーは米国のグロース株を押し上げる強力な推進役を果たしてきた。クラウドへの移行から人工知能(AI)革命まで、テクノロジー業界における創造破壊的な動きが、米国のいくつかの超大型銘柄を目もくらむような高値に押し上げてきた。しかし、2025年1月に起こった現象でも分かるように、超大型銘柄の規模やディープシークのようなAI分野の革命的な破壊者が市場を揺るがしかねないことを考えれば、それらハイテク株は急激な株価調整に見舞われやすい。

明るいニュースは、しばらく投資家の眼中になかったさまざまなセクター内の業種からグロース株を見つけ出すことができることだ。その例としては、専門小売店や医療機器会社など、ヘルスケアや消費関連セクターにおけるさまざまな業態が挙げられる。

魅力的なバリュエーションと利益成長の可能性

これらの業種の一部は今、成長見通しが非常に明るく、株価も魅力的な水準にある。例えば、ヘルスケア機器・用品などヘルスケア・セクターの一部は株価収益率が過去10年間の相対割安度で見て割安な水準にあり、それぞれヘルスケア機器及び用品が13パーセンタイル、ヘルスケア・プロバイダー及びサービスは6パーセンタイルとなっている(図表1)。食品・飲料・たばこと消費者サービスも、それぞれ1パーセンタイル、10パーセンタイルという非常に割安な水準にある。

これらの業種の株価は利益成長見通しが極めて魅力的であるにもかかわらず、2024年に市場全体をアンダーパフォームした。コンセンサス予想でも、消費者サービスは2025年の予想利益成長率は+13.6%と見込まれている。前述したヘルスケア業界の3分野では、それぞれの予想利益成長率は8.1~9.7%と予想されている。

セクターごとのパフォーマンスには大きな格差が見られる。過去2年間はテクノロジー株と通信株が市場全体を大幅に上回るパフォーマンスを上げ、これらのセクターに含まれる比較的多くの銘柄がS&P 500指数をアウトパフォームした(図表2)。それとは対照的に、生活必需品セクターとヘルスケア・セクターは相対パフォーマンスがとりわけ低迷し、これらのセクターでベンチマークをアウトパフォームした銘柄はそれぞれ5.1%、7.5%にすぎなかった。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、低迷しているセクター全体に対する売り圧力が、セクター内の魅力的なファンダメンタルズを持つ多くの銘柄の株価を押し下げていると見ている。このため投資家は人気の圏外に置かれているセクターの中から、利益を力強く拡大できる潜在力を持ち、株価が割安な水準にある銘柄を見つけ出すことができるとABでは考える。こうした特性は、その銘柄が長期にわたり力強い回復を遂げる可能性が高いことを示している。

クオリティを重視する姿勢を堅持する

もちろん、バリュエーションが魅力的だからといって、すべての銘柄が好ましい投資対象にはなるわけではない。特に、米国のトランプ政権がさまざまな企業に複雑な影響を及ぼしかねない一連の政策変更を計画していることを踏まえれば、対処すべきリスクは数多くある(以前の記事『2025年の株式市場見通し:米新政権の政策に揺れる市場で変化の波を捉えるには』ご参照)。投資家は政策がもたらす新たな課題を克服できる質の高いビジネスを展開し(以前の記事『米国株投資の新時代:トランプ政権に備える4つのポイント』ご参照)、再投資を支えるために資本コストを上回る利益を継続的に生み出す(以前の記事『利益と持続力~持続的な成長企業に投資する秘訣~』ご参照)能力を持つ企業を見極めるため、徹底的なファンダメンタル分析を行う必要があるとABでは考える。

こうした基準を満たす企業は、株式投資家に魅力的なリスク/リターン特性を提供している。特に、今の市場が少数の超大型銘柄によってけん引されている状況を踏まえれば、リターンを生み出す分野は徐々にすそ野が広がっていくとABではみている。

見過ごされているセクターの銘柄を取り入れてポートフォリオを分散すれば、投資家はテクノロジー銘柄の比率の高さがもたらすリスクを軽減しながら、大きな成長の可能性をうまく捉えることができるだろう。

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。
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