日本というと、失われた数十年そして限定的な成長という文脈で語られることが多い。人口の3分の1近くが65歳以上であり、インフレ率は長期にわたって低く、将来の経済成長の予測は楽観的なものではない。日本については、高齢化の問題が常に取り上げられているが、先日、リサーチ・チームと共に日本を訪れたところ、興味深い投資機会も存在することがわかった。

例えば、日本企業の中には、成長率が比較的低い環境において創造的な解決策を考案している企業もある。おそらく最も良い例はリクルートホールディングス(リクルート)で、ブルームバーグは同社を「世界的なインターネット支配に対する日本最大の挑戦者」と呼んだ(『This Company Is Japan’s Top Contender for Global Internet Domination』(英語)ご参照)。

人材派遣、オンライン求人、従来のメディア事業を手がけるリクルートは、海外の成長企業の買収を進めており、いずれも成功を収めているようだ。同社は2012年にヒューストン拠点の求人検索サイトであるインディード・ドット・コム(インディード)を、また2018年にシリコン・バレーの求人情報口コミサイトであるグラスドアを多額の資金を費やして買収した。グラスドアでは、求人情報に加えて、現職または以前の雇用主の評価や給与に関する情報を匿名で掲載でき、比較に役立てることができる。

インディードは、米国の別の求人サイトであるモンスターから市場シェアを奪い取っており、オーストラリアとドイツを除くすべての先進国で、第1位の求人情報提供サイトとなっている。グラスドアも世界中でシェアを伸ばしている。

リクルートは、企業の親会社として、経営陣を干渉しないアプローチを一貫しており、インディードとグラスドアの魅力であるイノベーションと成長が保たれている。LinkedInのみが、オンライン求人ビジネスにおいて同2社の手ごわい競合となっている。

日本が深刻な人手不足に直面していることを考えると、最も興味深い企業の1つが人材派遣会社だということは当然かもしれない。移民の受け入れ基準が厳しく、生産年齢人口(生産活動に従事しうる年齢の人口)が縮小する中、すでに日本では、増加する高齢者に対して適切な介護を行うために、介護者が身体機能を補助・拡張するロボット・スーツを着用するなど対応策が取られている。

これらが物語っていることは、日本に関する報道は、日本の真の姿について投資家にすべての情報を提供しているわけではないということだ。例えば、日本企業全体が何年もの間現金を保有し続けた後、徐々に自社株買いや増配を始めていることが挙げられる。

また日本は、先進国の中でも政治的に安定しており、ポピュリスト運動や移民の問題を巡る激しい論争に巻き込まれていない数少ない国の1つでもある。特に2019年のラグビーワールドカップや2020年のオリンピックの開催により、東京をはじめとする各地で和やかな雰囲気が漂っている。

経済状況についても同様のことが言え、インフレ率は約1%程度と非常に低い水準にある一方、失業率も低い。1人当たりの経済成長率(過去5年間で年率1.3%)も、名目/実質GDP成長率(年率0.9%)よりはるかに良好である。

先進国そして新興国も世界中で高齢化が進んでいるのが実情である。日本を単なる教訓として捉えるのではなく、古くて新しい世界に誰よりも早く適応している企業を探す時なのかもしれない。

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。
オリジナルの英語版はこちら

本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)ポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスに関する過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。

当資料は、2019年7月25日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。

当資料についてのご意見、コメント、お問い合せ等はjpmarcom@alliancebernstein.comまでお寄せください。

「株式」カテゴリーの最新記事

「株式」カテゴリーでよく読まれている記事

「株式」カテゴリー 一覧へ

アライアンス・バーンスタインの運用サービス

アライアンス・バーンスタイン株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第303号
https://www.alliancebernstein.co.jp/

加入協会
一般社団法人投資信託協会
一般社団法人日本投資顧問業協会
日本証券業協会
一般社団法人第二種金融商品取引業協会

当資料についての重要情報

当資料は、投資判断のご参考となる情報提供を目的としており勧誘を目的としたものではありません。特定の投資信託の取得をご希望の場合には、販売会社において投資信託説明書(交付目論見書)をお渡ししますので、必ず詳細をご確認のうえ、投資に関する最終決定はご自身で判断なさるようお願いします。以下の内容は、投資信託をお申込みされる際に、投資家の皆様に、ご確認いただきたい事項としてお知らせするものです。

投資信託のリスクについて

アライアンス・バーンスタイン株式会社の設定・運用する投資信託は、株式・債券等の値動きのある金融商品等に投資します(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)ので、基準価額は変動し、投資元本を割り込むことがあります。したがって、元金が保証されているものではありません。投資信託の運用による損益は、全て投資者の皆様に帰属します。投資信託は預貯金と異なります。リスクの要因については、各投資信託が投資する金融商品等により異なりますので、お申込みにあたっては、各投資信託の投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等をご覧ください。

お客様にご負担いただく費用

投資信託のご購入時や運用期間中には以下の費用がかかります

  • 申込時に直接ご負担いただく費用…申込手数料 上限3.3%(税抜3.0%)です。
  • 換金時に直接ご負担いただく費用…信託財産留保金 上限0.5%です。
  • 保有期間に間接的にご負担いただく費用…信託報酬 上限2.068%(税抜1.880%)です。

その他費用:上記以外に保有期間に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等でご確認ください。

上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきましては、アライアンス・バーンスタイン株式会社が運用する全ての投資信託のうち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。

ご注意

アライアンス・バーンスタイン株式会社の運用戦略や商品は、値動きのある金融商品等を投資対象として運用を行いますので、運用ポートフォリオの運用実績は、組入れられた金融商品等の値動きの変化による影響を受けます。また、金融商品取引業者等と取引を行うため、その業務または財産の状況の変化による影響も受けます。デリバティブ取引を行う場合は、これらの影響により保証金を超過する損失が発生する可能性があります。資産の価値の減少を含むリスクはお客様に帰属します。したがって、元金および利回りのいずれも保証されているものではありません。運用戦略や商品によって投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なります。また、ご投資に伴う運用報酬や保有期間中に間接的にご負担いただく費用、その他費用等及びその合計額も異なりますので、その金額をあらかじめ表示することができません。上記の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。