これまで数多くのトレンドが株式投資戦略として取り上げられてきた。しかし、単なるブームを投資テーマに仕立て上げることは、時に危険を伴う。
ペット愛好家、K-POP(韓国ポップ・ミュージック)、そしてアルコール飲料やタバコに代表されるような「非倫理」関連銘柄の共通点は何だろうか? いずれも、少々変わったトレンドに着目し、リターンにつなげようとする特化型投資ポートフォリオのテーマであるという点だ。成長産業であるペットケア製品・サービスから、世の趨勢にかかわらず需要が尽きないアルコール飲料やギャンブルまで、こうしたポートフォリオはテーマへの個人的な親近感とリターン創出の可能性をもとに、ニッチな投資家たちを惹きつけようとしている。
しかし、早合点は禁物だ。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)の考えでは、こうしたニッチ領域は投資可能なテーマの基本的な基準を満たしていない。これらは、何年にもわたって消費や支出を刺激する大きなトレンドから恩恵を受けていないだけでなく(以前の記事『Why Are Investors Drawn to Thematic Portfolios?』(英語)ご参照)、ポートフォリオ構築において不可欠な、優良企業の組み入れやリターン源泉の多様化といった分散投資が難しい場合が多いからだ。ブームは株式長期投資に必要な基盤を提供していないことがほとんど、というのがABの見解である。
一部のセクター・ファンドはテーマ戦略として機能する
セクター特化型ファンドはどうだろうか? ヘルスケアやテクノロジーなどのセクターに的を絞ったポートフォリオは、トレンドをうまく利用するのに人気を博している投資手段である。セクター・ポートフォリオがテーマ投資だとは考えない投資家もいるかもしれないが、それはポートフォリオの設計及び構築方法次第だ(以前の記事『How to Build a Thematic Equity Portfolio』(英語)ご参照)。例えば、定義が曖昧な公益特化型ポートフォリオは、原子力発電と石炭発電という具合に、同じセクターで成長軌道がまったく異なる銘柄を保有するかもしれない。
一方、破壊的イノベーションを実現する企業に的を絞ったテクノロジー・ファンドのように、セクター内のトレンドを捉える哲学やプロセスを明確に定義しているポートフォリオは、テーマ投資の手段と見なせる可能性がある。また、ヘルスケアでは、治験の成否といった科学的な成功の予想にこだわるよりも、長寿・高齢化や医療技術の進歩など、セクター内の長期トレンドから恩恵を受ける優良企業に選別投資するポートフォリオの方が、魅力的な利益成長へのアクセスやセクター対比でのアウトパフォーマウスの可能性につながる場合がある。
AIについてはどうか?
人工知能(AI)は好例だ。投資家が最も重要視すべきポイントは、ポートフォリオがAIをテーマとしてどのように定義しているか、そして投資機会をどのように探しているかである。一貫した定義のないAI特化型ポートフォリオは、米国の超大型銘柄群への偏重投資に終わることが多く、その結果として投資家は、リスク管理に不可欠な十分な分散投資ができない可能性がある。AIは明らかに強力なテーマだが、熱狂の波に乗ってブームになっているだけで実際は優良な事業や明確な成長軌道を有していないような銘柄は、慎重に避けなくてはならない。AI革命をけん引役にするテーマ・ポートフォリオは、高いリスク調整後リターンの創出ポテンシャルを提供する資産配分を構築すべく、まず最初に、投資対象にする企業の種類を明らかにすべきとABは考えている。
テーマ・ポートフォリオでは、あるトレンドから恩恵を受ける複数のセクターの銘柄を柔軟にピックアップすることができ、こうした関連銘柄は時間の経過とともに変わり得る。気候変動に的を絞った投資を考えてみても、テーマ自体は極めて長期間にわたる一方で、テーマ内のテクノロジーや成長領域は次から次へと展開していく。サイバー・セキュリティや防衛といったセキュリティ・テーマに関連した投資機会も、規制が変わるにつれ、また、関連産業をめぐる政治情勢が変わるにつれ、同様に変化していく可能性がある。長期的なテーマを明確に設定することで、マクロ経済の行方に短期的に左右されることを避け、目まぐるしく変わる流行や市場の気まぐれからダメージを受けにくい、ゆっくりだが着実な移行から、投資の果実を得ることにつながるだろう。
このブログは、ABが最近発行したリサーチ・ペーパー「テーマ投資:投資リターンにつながるストーリー」に基づいています。
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