【ESGに関する取り組み】
生物多様性が投資家にとって重要な問題となる可能性があるとの認識が広まるにつれ、幅広い資産クラスでファンダメンタルズに基づく投資分析を行う上で、生物多様性に対する注目度が高まりつつある。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)は、一貫した分析アプローチを活用することで、自然に関するリスクや投資機会をリサーチや投資プロセスに組み入れることが可能になり、資産配分を通じて長期にわたり高いリターンの獲得を目指す取り組みをサポートできると考えている。
南アフリカの絶滅危惧種であるクロサイからアマゾン熱帯雨林の減少に至るまで、地球上の生物多様性に対する脅威が増大している。生物多様性(動物、植物、その他の生物、及びそれらで構成される生態系)を保護することは、地球の健全性や、人々の日常生活を支える製品、サービス、経済活動を維持するために不可欠である。しかし最近まで、生物多様性は投資家の優先事項の上位にランクされていなかった。
自然界の生命体としての生物多様性の重要性を考えると、それは意外に思えるかもしれない。生物多様性は、自然界の非生物資源である土地、水、空気、鉱物などとともに、世界の自然資産を蓄積した自然資本を構成している。自然資本は、生態系サービス(自然が社会や経済にもたらす恩恵)が生命を維持し、富を生み出すことを可能にする構成要素を提供している(図表)。
長年にわたり、政府や投資家は主に気候変動がもたらす重大な影響に焦点を当て、自然界が果たす役割についてはほとんど考慮してこなかった。しかし現在では、気候変動と人間及び自然の間には密接な相互関係や、無数のフィードバック・ループがあるという認識が高まっている。
投資分析において高まる重要性
投資家にとって、生物多様性が財務上の潜在的なリスクや投資機会となり得るという理解が深まり、幅広い資産クラスのファンダメンタルな投資分析における重要性が注目されるようになってきた。自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は自然関連リスクについて、直接的、上流、下流における自然への依存や影響と関わりのある組織にもたらされる短期・長期的な潜在的脅威と定義している。資源が減少し、人口が増加し、規制活動が強化される中で、企業が生物多様性の喪失の原因や影響、さらに、喪失による影響を軽減しようとする中で生じうる機会にどう関係しているか、投資家は十分な情報に基づいた判断を下さなくてはならない。これらのリスクがどう管理されるかによって、ポートフォリオのバリュエーションが損なわれることもあれば、新たな投資機会の基盤が生まれることもある。一貫した分析アプローチを用いることで、生物多様性を適切に考慮した方法で投資することが可能になり、長期的に有意なリターンの獲得を目指して資産を配分する投資家の取り組みを支えることができるとABは考えている。
生物多様性への関心の高まりが投資機会を生み出す
ホワイトペーパー(英語)は、投資家向けに生物多様性に関する包括的な調査結果を提供するものである。このペーパーでは、生物多様性を定義し、それが経済に与える世界的な影響の度合いを測定しているほか、生物多様性をグローバルな投資テーマに押し上げつつある規制の枠組みや、注視すべき自然関連の事業リスクや投資リスクについても論じている。
生物多様性に対する注目度の高まりは、経済的な機会や投資機会も生み出す。ABはケーススタディを通じてこうした機会を取り上げ、投資家が幅広いセクターや企業の生物多様性リスクを把握するのに役立つ概念的枠組みを提供している。最後に、生物多様性に関する要因を全社的に取り入れるためのABの取り組みについても紹介している。
1 Financing Nature: Closing the Global Biodiversity Financing Gap(英語、外部サイト), Paulson Institute, The Nature Conservancy and Cornell Atkinson Center for Sustainability, 2020, 14
2 New Nature Economy Report II, The Future of Nature and Business(英語、外部サイト), World Economic Forum and AlphaBeta, 2020, 4
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