長期化する米中間の通商摩擦などを背景に、世界経済の成長には向かい風が強まりつつある。また、金融市場では警戒感の高まりから、主要先進国の長期金利が大きく低下し、株式などのリスク資産のボラティリティが高止まっている。先行きの不透明感が増す中、アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、中期的にキャッシュフローが安定し、金利低下の恩恵を享受するとみられる不動産投資の魅力が増していると考えている。中でも、景気が相対的に底堅く推移している上に、透明性や流動性も高い米国市場に注目している。
 
 

なぜ米国か

世界経済の成長減速は米国にも着実に波及しており、経済指標の勢いは鈍化しつつある。ただ、他地域に対する相対的な健全性は保たれている。追加利下げなどの金融政策や減税などの財政政策による対応余地が残っており、他地域に比べて見通しは明るい。また、経済の開放度(財・サービスの輸出入合計額の国内総生産(GDP)に対する比率)が他の主要国と比べて低く、世界経済への依存度が低いため、景気後退に至る可能性は低いとみられる(図表1)。
 
政策の柔軟性と経済の開放度.png
 
 

緩やかな成長が続く見通し

米国の不動産市場は、2008年から2009年にかけての金融危機後には価格の急落に見舞われたが、その後は堅調な回復が続き、一部の物件タイプではすでに危機発生前を上回る水準まで価格上昇が進んでいる(図表2)。賃料の上昇が価格の緩やかな上昇をけん引する、健全な回復となっている(図表3)。
 
不動産価格と賃貸上昇率.png
 
 
米国不動産の賃料は、当面は同様の上昇率が続くとみられる。緩やかな拡大が続く国内景気からの恩恵に加え、新規供給(物件の新規開発)が抑制されていることが背景にある。2011年以降、需要と供給のバランスは良好な状態が保たれ、各物件タイプで賃料は上昇基調が続いた。直近2年は、物流施設を除く幅広いセグメントで需要に対して供給が加速したこともあり、賃料はピークアウトしたように見えたが、供給の流れは収まり、足元では再び良好な需給バランスが維持されている(図表4)。
 
竣工床面積または戸数(供給)と契約床面積または戸数(需要)の推移.png
 
 
なお、商業施設の動向について、ここで説明を加えたい。近年、個人消費におけるインターネット取引のシェアが拡大する中、百貨店などの大口テナントを中心に実店舗閉鎖の動きが見られる。このため、2018年は商業施設の需要が前年から大きく低下した。ただ、商業施設の供給は以前より抑制されてきたこともあり、需給バランスの大きな悪化には至らず、賃料はプラスを維持している。郊外型モールでは空室率が高止まりする物件も引き続き散見されるが、大口テナントの店舗整理は一巡しつつある。これら郊外型モールでは、大口テナントの退去後にリノベーションを行い、中小規模の後継テナントを獲得する動きも出ており、一部ではファンダメンタルズの悪化に歯止めがかかりつつある。幹線道路沿いなどのショッピング・センターについては、スーパーやディスカウントストアなどのテナント需要は底堅く、ファンダメンタルズが相対的に安定している。
 

様々なアプローチによる投資が可能

今後も安定した成長が期待できる米国不動産であるが、投資を行うにあたっては様々な手段があることも大きな特徴である。主だったものとしては、リート(普通株、優先株、社債)、証券化商品(CRT証券やCMBS)、現物不動産(エクイティ・ファンド)、ダイレクト・レンディング(ローン・ファンド)などが挙げられる。
 
こうした様々な資産には、それぞれ独自の特性や魅力があり、投資家のポートフォリオにおいて様々な役割を果たすことができる。ABでは米国不動産は投資対象としての魅力が高い資産として注目しており、4回にわたる本稿の続編で主要な投資手段に関しその特性や投資家にとっての投資意義について解説していきたい。
 

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