巨大化したモール業界の歴史を振り返る
主要テナントであった百貨店やアパレル企業の衰退
モールは進化している
モール業界に対する一方的な見方が魅力的な投資機会を創出している
+ CMBXシリーズ6に含まれるモールは米国全体の0.5%にも満たず、当シリーズで積み上がった大規模なショート・ポジションはそれに見合うものではない。
+ 当シリーズの商業施設のエクスポージャーに注目が集まっているが、商業施設以外の物件が5割以上を占めている。当シリーズ6が組成された2012年以降、不動産市場全体でネット・オペレーティング・インカム(NOI)の改善が続いているが、その傾向はオフィスなど商業施設向け以外の物件で特に強い。NOIの改善が不動産価格の上昇を下支えし、商業施設以外を対象とするローンを中心にLTVの低下が進む。また、ローンをディフィーザンス(同額・同年限の米国債を差し入れ)して実質的に期限前返済する動きも目立つ。
+ 商業施設向けローンのエクスポージャーは44%あるが、全てがモールではなく、ショッピング・センターの割合が大きい。ショッピング・センターはオープンスペースに多く店舗物件が並んでおり、食品スーパーやディスカウント・ストアなど生活必需品を取り扱う小売店舗を中心に形成される。モール対比ファンダメンタルズは安定しており、一定の出店需要も続いている。
+ 当シリーズにはモール向けローンが37本含まれているが、担保物件の多くは商圏内で高い競争力を維持するモールであり、潤沢なキャッシュフローを生み出し、約定返済や利払い能力に特段の懸念は生じていない。そのため、多くのローンが完済、または一部の債権放棄によって大部分が回収される可能性は高く、当シリーズで発生する損失率は低位に留まると予想している。
+ 一部はファンダメンタルズの悪化に歯止めがかからず、ローンがデフォルトし、債権回収も土地の時価程度しか期待出来ないローンもあるが、その割合は低い。当シリーズをショートする投資家は、こうしたデフォルトが全てのモール向けローンで発生すると予想している。
+ ローンを管理するスペシャル・サービサーの存在も重要であり、スペシャル・サービサーはCMBS投資家の利益を守る責務がある。簡単にローンをデフォルトさせ、損失を確定させるのではなく、ローン期日を延長し、可能な限り物件キャッシュフローから債権の回収を目指す。担保物件の差し押さえを行い、強制売却によって債権を回収する手続きは、非常に煩雑で長いプロセスである。また、相当なコストも発生するため、回収可能金額が低下しやすく、スペシャル・サービサーとしては回避したい選択肢である。当シリーズをショートする投資家が期待するほど、早期にデフォルトや損失が確定することは少ない。
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。
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