家は大学教育や車と並び、人生で最大の投資だとよく言われる。しかし、通常は退職後に一段と大きな金銭的負担が発生するにもかかわらず、おそらく目に見えないことから、それに備えた資金の重要性は見過ごされがちである。

確定拠出年金(DC)プラン加入者は優先すべき問題を多く抱えているため、退職への備えからますます遠ざかっている。彼らは忙しすぎるか、関心がないのかもしれない。信頼感や金融リテラシーの低さも状況を悪化させている。

アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)が実施した「年金加入者が考えていること(Inside the Minds of Plan Participants)」調査によると、退職貯蓄の投資方法について意思決定する意欲や安心感のレベル、時間に関する考え方を表明したのは回答者の半数に過ぎない。退職に備えた投資が生涯にわたって収入をもたらすと確信している人はわずか44%で、半数以上はそうは考えていないことになる(図表1)

加入者の関心は低く、スポンサーはギャップを埋める必要

退職口座への関心を高めるようプラン加入者に促すことは、プラン・スポンサーにとって恒常的な課題となっている。当然ながら、加入者は住宅ローンの支払いや子育て、親の介護など、目先の優先課題への対応に追われており、今は退職後の問題に多くの時間を割くことができないように見えるかもしれない。

また、自動加入や適格デフォルト投資といった機能がプランについていれば、加入者はそれほど大きな関心を払わずに済む。しかし、退職後の生活はあまりに重要な問題であり、積極的な関心を持たないわけにはいきません。

もっとも、すべてのプラン加入者が完全に背を向けているわけではない。約43%の加入者は、プランのウェブ・ポータルが役立つと考えており、半数以上は少なくとも口座明細を確認している。だが、さらなる働きかけが必要であり、それに対する需要もある。例えば、調査では約55%が金融セミナーがあれば参加すると回答しており、約5人に1人がすでに参加したと答えた(図表2)

一部の加入者は雇用主以外に支援を求めている。ファイナンシャル・アドバイザーに相談する人は4分の1程度で、多くの人々は彼らに相談するほどの資産はないという誤った考えを持っている。一方、投資の選択肢について配偶者やパートナーと頻繁に話し合っているとの回答は83%に達した。この割合は高いが、こうした会話が好ましい意思決定につながるかどうかははっきりしない。

こうした傾向は、スポンサーが引き続き金融ガイダンスに関する最も論理にかなった情報源であり、それが退職に限定されたものである必要はない、という大きなギャップを生んでいる。実際、取り上げるトピックを広げれば、加入者の関心を引き寄せ、長期的にはエンゲージメント・レベルを改善できると思われる。

幅広いエンゲージメントを促すため幅広いタイムリーなトピックを取り上げる 

ABは、責任投資などプラン加入者の関心が最も高いテーマや、経済や市場のボラティリティなど現時点において懸念されているテーマを取り上げることが好ましいと考えている。

例えば、最近はインフレに対する懸念が高まっている。物価の上昇が貯蓄や収入に関する戦略にどんな影響を及ぼすか、こうした環境下ではどんな行動を取るべきかについてのアイデアは、プラン加入者やすでに退職している人々から歓迎されそうだ。

市場のボラティリティも検討が必要なタイムリーなトピックである。こうした問題についてはスポンサーが市場の状況を変えることはできないが、長期的に物事を考え、関与を続け、資産の分散を維持することの利点をプラン加入者に思い起こさせるためにできることは多い。

責任投資はプラン加入者の関心が急速に高まっているもう1つの分野で、さまざまな形態がある。調査では83%が、リターンやコストをある程度考慮しながらも、投資の選択肢が基本的な倫理的価値観に沿っていることが重要だと答えた。全体としては、そうしたファンドに投資する可能性が「多少はある」あるいは「大いにある」との回答が約3分の2に達した(図表3

このような関心の高まりになぜ対応しないのだろうか?例えば、プラン加入者は、環境・社会・ガバナンス(ESG)の組み入れからESG目標を含む単独のソリューションまでさまざまなタイプの責任投資について、プランの枠内または証券会社、あるいはその両方を通じて、ガイダンスを活用することができる。

エンゲージメントを促進するのは大変な作業に見えるかもしれないが、スポンサーが単独で行う必要はない。プランのパートナーや記録保管会社、資産運用会社は、プラン加入者が知りたいと思っていることに関するタイムリーなコンテンツや分析をいつでも提供できる体制を整えている。また、さまざまなアイデアが絶えず提供されることで、プラン加入者が主要メディアで目にし、大きな関わりがあるとみられるトピックについて、スポンサーは頻繁にコメントすることができる。

エンゲージメントは少しでもいいが、多い方が望ましい。それはプラン加入者の自信を高め、貯蓄をコントロールすることを手助けし、ひいてはプラン全体の健全性を高めることにつながる。

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