アライアンス・バーンスタイン株式会社
運用戦略部
シニア・インベストメント・ストラテジスト 兼 責任投資推進室長
臼井 はるな
社会のサステナビリティが問われる今、資産運用の世界でもこれまでの財務分析に加えて、ESG(環境・社会・企業統治)による視点を加味して投資先企業を評価する動きが活発化しています。ESGに関わる運用戦略が続々と発信される中で、アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)*がESG投資によって目指すビジョンを整理してお伝えしたいと思います。
アクティブ型の投資戦略を強みに
資産運用会社として私たちには、長期的な運用成果を向上させるというミッションがあります。ESG投資もこのミッションに貢献するものであるということがベースとなる考えです。すなわち、リターンの向上とリスクの軽減の両方に役立つようESGを活用すること。まずはそこがスタート地点です。
ABは、徹底したリサーチによるアクティブ運用を強みとする資産運用会社です。市場に連動するパッシブ運用ではなく、リスクをコントロールしたうえで個別に投資銘柄を組み入れます。そのため、ESGへの取り組みもリサーチを重点に据えているのが大きな特色です。私たちが提供する運用戦略はすべて、既にESG要因に関する考慮を取り入れており、各企業のESG要因はその銘柄を担当するアナリストが責任を持って判断しています。
なぜ、アナリストなのか? それはアナリストがESGの各項目を評価することで、企業の将来の収益性にESGがどう効いてくるのかを立体的に判断できるからです。だからこそアクティブ運用の銘柄選択に直結させることができるのです。ESG評価を別のチームが行っている場合は、アナリストの判断とのかい離が懸念されます。例えば、あるカリスマ経営者が率いる新興企業についてE(環境)はいいけれどG(ガバナンス)に課題が残るという評価がされたとして、アナリストがそれを長期収益予想に取り込まなければ、ESGは単なる形式的な評価項目の1つにとどまってしまうかもしれません。
気候変動のアカデミアとのパートナーシップ
もちろん、アナリストを含めた運用に携わるスタッフの活動を充実させる支援は、組織として特に注力しています。ここでは、私たちならではの取り組みとして2つ、ご紹介します。まず1つ目は、米コロンビア大学地球研究所とのパートナーシップです。
この研究所は、世界的に有名なラモンド・ドハティ地球観測所を擁する気候変動とその影響を分析する学術組織です。金融業界は自然科学と距離のある存在に思われがちです。けれども環境、特に気候変動のリスクを投資にいかに織り込むべきかは、私たちが目下、最も重点的に取り組むべき課題だと考えています。
2019年9月に始まったこのパートナーシップでは、アナリストやポートフォリオ・マネジャー、最高経営責任者セス・バーンスタインを含む経営幹部など計100名以上が参加し、サイエンスの世界で捉えている気候変動の実体や、各種の訴訟問題、地域的な違いなどを取り上げるプログラムを実施し続けています。さらに2年目に入り、今度は私たち資産運用業界の世界から見た企業行動や政策効果などを科学者の側に理解してもらう双方向の働きかけも強めています。異なる観点が出会うことで、社会にとって実のある成果を生み出していきたいと考えています。
2つ目は、リサーチした情報のプラットフォーム化です。ESIGHTと呼ぶウェブ・ブラウザからアクセスできるデータベースを構築し、世界各拠点の株式部門、債券部門の枠を超えたコラボレーションを実現しています。例えば、運用担当者が企業をリサーチする際に、その企業との過去のエンゲージメント記録をひとまとめに閲覧でき、過去に対話したアナリストと連絡を取ることも容易にできます。情報を共有することで、より効果的で深みのある企業調査を行うことができます。全社的なエンゲージメント・キャンペーンでは重点テーマを定めて、株式部門のすべてのチームがそれについて企業と対話します。最近では気候変動への取り組み、経営陣の報酬へのESG目標導入などをテーマに据えました。こうした横串の展開も加わり、ビッグデータ化することで、計量的なモデル分析に応用することも視野に入れています。
ESGを積極的に活用した投資アイデアの数々
企業がESGに対する取り組みを大きく変えようとしている今、過去データに基づく評価にとどまらず、将来視点でESGを分析し、変化余地を精査し、リスク調整後リターンの向上を図るべき段階までESG投資は進展していると実感しています。そして、それを運用戦略に活かせるのはアクティブ運用マネジャーならではの特長だと考えています。
すべての運用戦略にESG要因を統合する「インテグレーション・アプローチ」のみならず、より積極的にESG評価を活用し、投資家の個別ニーズに即した戦略を国内で提供することも検討しています。例えば、国際連合のSDGs(持続可能な開発目標)のフレームワークを用いて、17のゴールの達成に資する企業への株式投資で成長機会を狙うもの。あるいは、現状のESG評価はそれほど高くはないものの、経営陣との対話などを通じて今後の改善余地が大きい企業に投資する戦略なども、アクティブ運用マネジャーだからこそ実現できる取り組みだと考えています。
ESG要因は、株式投資のみらならず、債券投資においてもダウンサイドリスクを抑える手法として応用できます。例えば、ESGの観点で評価が低い企業を除外した社債投資。満期までの発行体の破綻(デフォルト)リスクを軽減しながら利回りの確保を狙う手段として有効であると考えています。
コロナ禍をきっかけに、従業員の健康面への配慮や企業としての道義的責任など、ESGへの企業の意識は強まっているように感じます。私たち、ABも機関投資家としての立場のみならず、一企業として将来に対する責任ある行動を大切にしています。
より良い社会を創造するためのコミットメントには行動が伴わなければならないと考えているからです。様々な運用戦略や投資信託商品を通じて、投資家の資産形成に貢献していくこと。投資、そして社会の一員としての企業行動を通じて社会への還元を行っていくこと。その中心軸となるのがESGなのだと思います。
(アライアンス・バーンスタインはESGの理解促進を目指し、シンボルマークを作成しました)
責任投資に関するABの取り組みは、ABの責任投資サイトで詳しくご紹介をしております。
金融商品取引業者関東財務局長(金商)第303号
加入協会:一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会/日本証券業協会/ 一般社団法人第二種金融商品取引業協会
アライアンス・バーンスタインについて
アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)は、世界各国において、機関投資家や個人投資家、個人富裕層に対して、高品質のリサーチと広い範囲にわたる資産運用サービスを提供する世界有数の資産運用会社です。運用プロフェッショナル約330名(2020年9月30日現在)を擁し、様々な資産運用サービスを世界26カ国で提供しています。2020年9月30日現在の運用資産総額は約66.6兆円です。ABには、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン・ホールディング・エル・ピーはニューヨーク証券取引所に上場しています。
アライアンス・バーンスタイン株式会社について
アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。1986年の拠点開設以来、個人投資家や機関投資家向けに投資信託や年金運用などの投資サービスを提供しています。2020年9月30日現在の運用資産総額は約4兆20億円です。より詳しい情報は、https://www.alliancebernstein.co.jp/でご覧ください。
*アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社はABの日本拠点です。
当資料についての重要情報
当資料は、投資判断のご参考となる情報提供を目的としており勧誘を目的としたものではありません。特定の投資信託の取得をご希望の場合には、販売会社において投資信託説明書(交付目論見書)をお渡ししますので、必ず詳細をご確認のうえ、投資に関する最終決定はご自身で判断なさるようお願いします。以下の内容は、投資信託をお申込みされる際に、投資家の皆様に、ご確認いただきたい事項としてお知らせするものです。
投資信託のリスクについて
アライアンス・バーンスタイン株式会社の設定・運用する投資信託は、株式・債券等の値動きのある金融商品等に投資します(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)ので、基準価額は変動し、投資元本を割り込むことがあります。したがって、元金が保証されているものではありません。投資信託の運用による損益は、全て投資者の皆様に帰属します。投資信託は預貯金と異なります。リスクの要因については、各投資信託が投資する金融商品等により異なりますので、お申込みにあたっては、各投資信託の投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等をご覧ください。
お客様にご負担いただく費用:投資信託のご購入時や運用期間中には以下の費用がかかります
- 申込時に直接ご負担いただく費用 …申込手数料 上限3.3%(税抜3.0%)です。
- 換金時に直接ご負担いただく費用…信託財産留保金 上限0.5%です。
- 保有期間に間接的にご負担いただく費用…信託報酬 上限2.068%(税抜1.880%)です。
- その他費用…上記以外に保有期間に応じてご負担いただく費用があります。目論見書、契約締結前交付書面等でご確認ください。
上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきましては、アライアンス・バーンスタイン株式会社が運用する全ての投資信託のうち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。