アウトパフォームとは

アウトパフォームとは、ある一定期間において、株や投資信託(ファンド)の運用成績が、ベンチマークとなる運用基準を上回っている状態のことをいいます。ベンチマークを下回っている状態はアンダーパフォーム、ほぼベンチマークに沿っている状態はニュートラルと呼ばれます。

ベンチマークは、金融界では投資信託などが運用の基準としている指標を指します。

日本株に投資する投資信託であれば、東京証券取引所の第一部銘柄を対象とする「TOPIX(東証株価指数)」や、日本を代表する上場企業225社の株価平均から算出される「日経平均株価」、アメリカ株に投資する投資信託であれば、アメリカを代表する上場企業500社を対象とする株価指数「S&P 500」などが使われることが多いです。

例えば、投資対象は日本株、ベンチマークはTOPIXという投資信託があったとします。

仮に、直近過去5年間のTOPIXの年率平均リターンが5%だった場合、同じ期間の投資信託の年率平均リターンが5%を上回っていればアウトパフォームとなり、「アウトパフォーム+◯%」のように表されます。

ここで注意したいのが、リターンがプラスだからアウトパフォームではないことです。例えば、TOPIXの年率平均リターンが-10%の場合、同時期の投資信託のリターンが-5%だったとしても、ベンチマークを上回っているので、「アウトパフォーム+5%」となります。投資家からすると納得のいかない部分もありますが、運用としてはベンチマークを上回っていることに違いはないのです。

アウトパフォーム・アンダーパフォームを判断する意味

前述したように、アウトパフォームやアンダーパフォームは、絶対評価ではありません。あくまで、「基準に対してどうだったか」を比較する相対評価です。ですから、この評価方法を使うことで、投資対象のカテゴリが同じファンド中から、「どのファンドが高いパフォーマンスを上げているのか?」を知るのに役立ちます。

株価や投資信託の基準価額の値上がりや下落は、絶対評価ですから非常にわかりやすいです。しかし、それだけでは、ほかの商品に比べて、パフォーマンスが良かったのか悪かったのかがわかりません。

もし、10年間で投資信託が10%値上がりしたとしても、同期間にベンチマークであるTOPIXが20%上がっていたとすれば、この投資信託はベンチマークの半分しか利益が出せなかったことになります。

アウトパフォームの重要性

投資信託には「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類があります。アウトパフォームやアンダーパフォームを投資判断に利用するのは、おもにアクティブファンドを選ぶときとなります。

インデックスファンドとは、ベンチマークに連動するように設計されている投資信託のことです。アナリストによる企業リサーチなどの手間がかからない分、信託報酬(投資家が運用会社に支払う手数料)や販売手数料(投資信託を購入する際に販売会社に支払う手数料)が、非常に安いことが特徴です。特に信託報酬は、「投資金額に対して年◯%」と設定されており、投資信託を保有している期間はずっと支払う必要がありますから、安いにこしたことはありません。

インデックスファンドは比較的手数料水準が低くなっていますが、ベンチマークとの連動を目指しているので、ベンチマークを大きく上回るリターンは期待できません。

一方のアクティブファンドは、運用者が独自の銘柄選択や運用を行うことで、一般的には、ベンチマーク以上の運用成績を上げることを目指す投資信託のことです。アナリストが手間暇をかけて運用する分、信託報酬と販売手数料は、ともにインデックスファンドより割高ですが、ベンチマークとの連動を目指すインデックスファンド以上のリターンが期待できます。

しかし、現実には、インデックスファンドを上回る成績を残せていないアクティブファンドも少なくないので、その見極めが必要です。そのため、インデックスファンドより高い手数料のかかるアクティブファンドを購入する投資家は、高い手数料に見合うだけの好成績を期待できるアクティブファンドを探すため、「どれだけベンチマークを上回る運用成績を出すか」を予想するために、「アウトパフォームしているか?」を確認するのです。

また、ファンドマネージャー自身が運用成績を確認する際にも、アウトパフォームは非常に大切な要素となっています。

アウトパフォーム・アンダーパフォームを見る上での注意点

アウトパフォームとアンダーパフォームを投資に活かす際には、次のような注意点があります。

  • 同期間を比較しないと意味がない

アウトパフォームとアンダーパフォームは、3年間や5年間など、ある一定の期間に紐付くものです。そのため、同じ期間同士を比較しないと意味がありません。

  • 同じベンチマーク同士を比べないと意味がない

アウトパフォームとアンダーパフォームは、1つのベンチマークに対する相対評価なので、ベンチマークが違うもの同士を比べるのには使えません。

  • アウトパフォーム・アンダーパフォームは過去の運用成績

長期間アウトパフォームを続けている投資信託は、運用が上手くいっていることになります。しかし、「アウトパフォーム+◯%」というのは、あくまで過去のある期間の運用成績であって、将来も同じになることを保証するものではないことを認識しておきましょう。

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